第3章

タイトル:初戦は嫌な事から始まる

んな訳で、いよいよ試合であります。
駅から会場まで約15分程度でしたが、公営公園特有のアップダウンを歩いて来たので結構な運動量だったのでしょうか、身体がホカホカして、直ぐにでも動ける感じです。
いやホンマ歩くって良いですねぇ。

1回戦
対戦相手:吉村 40代後半の感じ 身長は160台後半 細め 動けそうな感じに見えます。
やや猫背気味で、顔がゲゲゲの鬼太郎に出ていた、一反木綿に若干似ておりますので、あじゃぱー、と呼ぶ事にします。
いつぞやのシリーズで、一反木綿は、登場する時「あじゃぱー」と、言いながら登場してきてたので。
あ、でも、タイプするのが面倒なので、あじゃ、でいきましょ。

トスで負けて、珍しく、あじゃ、はリターンを選んだので、必然的に、サーブからです。
うちらのレベルの試合では、サーブがどうしようもない程凄い、って言う相手は殆ど居ないので、リターンの方が有利なんです。
練習のコートとかが用意されている訳ではない草トーなんかでは、相手サーブの第一ゲームで充分に身体を温めてからサーブを打てるなんて面も、リターンの方が有利な面だと私は思っています。
ま、普段は、意図しなくても殆どの場合、相手がサーブを選んでくれるし、自分がトスに勝ったなら、リターンを選べば良いだけなので、自分の意図した通りになりやすいんです。
だけど、久しぶりにそうならなくて、サーブからになっちゃいました。

第1ゲーム
サーブ練習をしてみて、ま、身体はそこそこ温まっているので、サーブ自体が入らない、とか言う事は無さそうなので、奇数ゲームを落とさなければ絶対的に有利に進められる、と言う自分の教訓に従って、キープを目指し、いよいよゲーム開始です。
ま、でも、やっぱりいきなりサーブを打つって言うのは、コース的にも、パワーをどの程度掛けられるか的にも、コントロールがちょっと微妙なんですよね。
細かい部分でミスも出やすい最初のゲームなのでちょっと神経質な展開になっちゃいます。
で、デュースになって、ダブった。
いや、やっぱり最初のゲームからキープしなけりゃいけないわな、って言うプレッシャーは余計でしたよ。
仕方ない、コートチェンジだ、2ゲーム目から頑張ろう。

第2ゲーム
サーブ練習の時、あじゃはそんなにサーブが良くないな、って思っていたのですが、予想に反して結構速いサーブを打ちよります。
ま、私も、練習の時はそんなに真剣に打たないので、そんな奴が他に居ても当たり前かぁ、って感じでキープされ0-2となります。

第3ゲーム
このままではいけませんので、まずはここでキープしたいです。
次のあじゃサーブでブレイクが出来れば、タイ、に持ち込めますし、サーブが通用する事も確認出来て、サーブをブレイク出来ると言う目途が立てば、慌てる事無くプランを練る事が出来るでしょうから・・・。
ボールやサーフェス、太陽の位置、風、など、環境にもそろそろ慣れて来たので、サーブも強めに打っていきましょう。
丁寧にミスをしないように、確実に返してくるタイプで、結構お上手な人ですが、充分なサーブが入れば、ポイントが取れます。
リターンを返されても、甘いふわっとした球なので、落とさずに前で取ったりして、ポイントが取れます。
「Yこりん」やっぱりロブは、早いタイミングでバンバン打っていけば良いんとちやうかな!
計画通り1-2に持ち込めました、ここまではグッジョブ!

第4ゲーム
ここで、ルール知っとけょ事件、の幕が開きます。
あじゃのサーブは中々良いんですが、ブレイクをと意気込んで臨みました。
上手くポイントが取れ15-40となり、私のブレイクポイントとなりました。
サーブをリターンし、早めに相手を振り回そうと、フォアのクロスに深く、返って来た球を逆クロスに、と、私ペースのラリーになります。
ちょっと強めの角度を付けて、オープンコートを作りましたが、あじゃもロブで上手く時間を作り、それがたまたま深く入って来てしまったので、私もここは一旦繋ぎます。
深かった為に、角度を付ける事が出来ず、ひとまずセンター付近に、こちらもムーンボール気味で、返しました。
この時には、ロブで作った時間を有効に使い、センターに戻って来ていました、あじゃは。
繋ぎはしましたが、まだこちらのペースでのラリーには変わりなく、あじゃからの返球は、私の待つ付近に返って来ます。
もう一度角度を付けられる展開に持ち込みたいと思いましたが、ライジング気味で打った為に角度が付かず、センター付近に返ってしまいました。
この時です。
いつの間にか、何処から現れたのか、相手の足元にボールが落ちています。
隣コートの人が取りに来る雰囲気もなさそうで、どうやら、あじゃが落としたようです。
私は、何処から現れたのか、解らない位なので、気にはなりませんでしたが、ルール上はボールに限らずプレイ中に物を落としたら、反則です。
振動止めでも、服のボタンでも、ラケット以外の物は落としてはいけないんです。
意図的でも、不可抗力でも、関係有りません。
セルフジャッジであっても、どちらからでもプレイを止める事が出来ます。
で、止めた後、一回目は警告で、二回目以降は、落とした時点で失点です。
つまり、この時点でプレイを止めて警告である旨伝えるのが、本来のやり方なんです。
が、あじゃを左右に振れている状況でしたし、自分のペースのラリーだったんで、ポイントが取れればゲームも取れるので、ま、良いかと流したんです。
むしろ、邪魔じゃないんか?踏んじゃうぞ、止めた方が良いんちゃうんか、怪我したら元も子も無いぞ、なんて思いながらプレイを続けました。
ルールを知らなかった訳じゃないですし、自分が有利だから、と、止めなかったのは、私も良くないんですが、だってね、今までの経験上、ポケットに何球も詰めてラリーをする練習でならいざ知らず、一個しか突っ込んでいないのに、試合でボールを落としている奴なんか今までに見た事ないですやん。
まさか二回目なんかするわけ無いですし、ここは有利なんであれば、良いか、って勝手な私です。
足元にボールが有りながら、ラリーを続けて、気の毒ね、位に思っていましたが、本当に気の毒なのは、私になるなんて・・・^^;
無事、相手に怪我も無く、そのポイントを取って2-2に挽回する事が出来、さっき描いたプラン通りになりつつあります。

第5ゲーム
ブレイク後のサービスは重要なゲームです。
一緒になって落としていたんでは、ブレイクの意味が無くなりますからね。
と、言う事で、若干集中を上げ、サービスも難なくキープして、完全にプラン通り3-2で、コートチェンジです。

第6ゲーム
相手のまぐれ的なサーブが結構入って来て、返球が甘くなる事もあり、で、デュースからキープされました。
さっきに続いて、ブレイクを狙ってはいたので、うーん、残念。
とは言え3-3ですし、想定の範囲内です。

第7ゲーム
私のサーブが乱れ、あじゃのミスが有ったのですが、つけこむ事が出来ず、キープが出来ず3-4となりました。

運命の第8ゲーム
このゲームが、この試合の最も重要なポイントだったのかな、と言う感じです。
ま、こんな事がプレイに影響してしまう程度の心だから、駄目なんですねぇ。
こちらサーブで順調にポイントを重ねていき30-15となりました。
ただ、この試合最初から一環して、いつもみたいな自分のイメージ通りのショットが打てている訳じゃないな、と感じていて、さっきのゲームではそこそこ良かったですが、結構頑張り目で、ここまで来ていました。
なので、是非、ここで先にブレイクしたいと、より集中しようと思いました。
リターンから積極的に、相手を左右に振り回し始めましたが、ウィナーが取れるほど厳しい球を打つ事が出来ていません。
が、相手を振り回すと、不思議とボールは、自分に向かって返って来るんですよね。
これ、シングルスでは、結構良く見かけるパターンで、片方は殆どセンターから動かないのに片方だけコートをウロウロ走らされる。
ま、そうなるように出来ているんですね。
全然余裕で、センター付近にポジショニングをしながら、あじゃが左右に走っているのを眺めていました。
40-30となり、やっぱりこのゲームもブレイクは無理かな、なんて思い始めもしましたが、いやいや、まだ解りませんよ。
その時、信じられない事が起きました。
ゲームポイントで、あじゃサーブ。
リターンから積極的に角度を付けていきます。
あじゃが、私から見て右の方へ追い掛けて行きバックハンドでボールを打ち、私の待つセンターに返ってくる。
フォアのクロスで角度を付けるが、若干甘めで、追い付かれて返って来る、が何回か続きました。
何度目かの、あじゃのバックハンドへ角度をつけたショット打ちます。
あじゃは、そのボールにも追い付き、バックハンドで、打ち返そうとしています。
その瞬間自分の所へ返って来るはずのボールが、おっ!って感じる位、角度が付いて飛んで来たんです。
しかも2つに分かれて!!
もう1個は、私が元々待っていたセンター付近に!!
最初に確認した角度の付いた球は、そのまま足元に転がり、センターに飛んで来た球が正式な球だった、ようです。
で、ま、当然コートカヴァーするべく、私は左へステップを始めていたんですが、急遽引き返し、後から飛んで来た球を打とうと、元々私が待ち構えていたセンター、に戻りまして、追い付きましたが、そりゃあミスもしますわな・・・。
うーん、分身魔球か!と、思って、目を凝らしてよく見ると、単にあじゃのポケットから飛び出して、太腿で蹴り出され、跳ねただけの球で、今自分が追い付けずに相手ポイントになろうとしているその球こそが、本来のインプレーのボールだったんです。
自分が蹴り出したボールを暢気に拾いながら、ゲーム、だとばかりに、こっちにボールを渡そうとしています。
私、流石に、今回はレットをコールしました。
ポイントのやり直しで、ボールを落とした事は警告だ(さっき警告を取っておけば、私のポイントでしょ)と、主張しました。
相手は、こちらのコートのボールなんでそっちには関係ないですよね、とか、のたまってきよります。
いやいや、そうじゃないよ。
隣からボールが入ってきたとしても、どっちのコートの人が止めても良いんですよ。
その場合、ファーストサーブからのやり直しになるだけですよ、と。
だって、あなたのコートにボールが転がって来て、集中を削がれるのはこちらな事の方が多いでしょ、と。
物を落とした時も同様で、どちらがレットを掛ける事も出来るし、警告だし、次やったらこっちのポイントですよ。
それにセルフジャッジだと言うんなら、自分がボールを落とした事も、自分でジャッジして警告を与えろよ。
そうしていたんなら、今も、こっちのポイントだろうがよ、と。
さっきも落としてはりましたが、そんな事、何度もやらへんやろ、と、スルーしたので、仕方ないから、今回が一回目って言う扱いですが、セルフジャッジ、をそこまで言うなら、自分で落とした事をジャッジしないといけないんじゃないですか、と、やんわりと言い聞かせて差し上げますと、じゃ、やり直しなんですね、と、ふてくされ気味に、40-30でのサーブのポジションに戻って行かれました。
「おい、待て」と、引き止めて小一時間説教たれたろか、とか思いましたが、ま、こんな事で心を乱してはいけないよね、と、プレイに集中しようとしましたが、集中しようと思っている時点で、集中出来ていない訳です。
相手も若干は動揺したんでしょうか、ミスをしてくれて、なんとかそのゲーム、ブレイクは出来4-4とする事が出来ました。

最終スコアは4-6なので、ここら先は、1ゲームも取れていません。
いつもよりもイメージ通りなショットが打ててない為に、それまで丁寧に丁寧にコースを打ち分けて、真正面勝負をしないで、やってきたのに、なんか向きになって、角々を狙ってみたり、走りながらのショットなのに、無茶な狙い方をしてしまったり、で、どんどんミスを積み重ねて・・・。
ジ・エンド。
ミスを重ねている最中に、気が付かなかった訳じゃないですよ、自分のしている無茶な事に。
色んな事を取り戻そうとしましたょ。
でもね、終わってみて、今、思うんですけど、こう言う時って、そのなんて言うか、自分の正当性を無茶な事をしても勝てるでしょ、的な事で証明したくなっちまうんですねぇ、私。
例えば、ランニングショットをダウンザラインに打ってウイナーが取れる、と、それが自分が正しかった事の証明になるんだみたいな、意識を何故か持っちゃうんですね。
単に勝つ、勝てた、と言う結果だけでは、あのジャッジの正当性は主張出来ない、みたいな感じになっちゃうんですかね。
そんな事しないでもルールブックを読めば、自分の正当性は証明されるのにねぇ。
例えば、めちゃめちゃスーパーショット打てる人が目の前に居たら、そんな人がルールを知らないはずが無い、なんて言う先入観を私が持ってしまっているから、じゃ、自分もそんなスーパーショットを打てるんだから、私の知っているルールは正しい、なんて言う馬鹿げた思考に繋がるんですかね。
でも、ラケットを投げない大きな心、が、私の現在最も手に入れたいアイテムなんで、いや、ホンマに冷静だったはずなんですよね。
冷静に、無茶をしてでも勝ってやろう、と言う意識になっちゃったんです。

と、言う訳で、今だから言えるんですけど、この試合で得た教訓は、ルールとか、細かい部分で、相手との主張が食い違ったりして、もめたりしてもね、正当性を争う為にゲームをやっているんじゃないよ、勝つ為なのだよ、って本来の目的に立ち戻りましょう。
ま、あんまり無い事なんでしょうけどね。
1.自分の上手さで正当性が証明される訳ではない

続く
何かください^^;

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