にほんおかしばなし

昔々ある所に、一組のカップルが居ました。
男性は大層優しく、女性の事を大変大切にしていました。
女性の方も、幼少期から青年になるまでを男性として生きた過去が有りますが、今ではすっかり女性として生活していて、その男性の事が大好きでした。
この物語は、そんなカップルの女の方の目線で描いた「フィクション」で有ります。

女は、某メーカーの物流関係の部署に勤める、所謂何処にでも居る普通のOLで、自分の過去の事や、そんな過去の事情から抱える身体的特性等はコンプレックスに思っていますが、それを回りに伝える事はせずただひたすらに埋没して、それなりにリアルな生活をエンジョイして生きています。
6年程前、女は、ある男と知り合い付き合うようになります。
この男、歳は20個上で離婚暦1独立して家を出ている娘1がある、今時何処にでも居る(?)普通の中年です。
付き合いだしてまもなく、男は、女の身体の事情や、過去の経歴などを知りましたが、そんな諸々も踏まえた上で、男はたくさんの愛情を女に注ぎ、女もその事にとても幸せを感じ感謝もしていました。

女も、良い年頃なので、結婚だとかを意識しなかった訳では有りませんが、でも、過去の事も有りますし特段それを強く要求したりもせず、男の方も同じで・・・歳が上過ぎる事で、老後に女の面倒を見れるかどうか、と言う不安が有り、中々お互いに婚姻をと言う所までは行きませんでした。
これは後に知った事ですが、女の母親が病気がちでしたので、もし亡くなったら、その時には養女と言う方法で、縁は結ぼうと考えていたようです。

自分に自信がない女は、そんな男に対して、自分なんかでは何もしてあげる事がないなぁ、なんて常日頃から思っていたようでもあります。
とは言え、そんな幸せな時間はもう少しは続くのだろうな、と。
年齢差で、いつかは彼が先に・・・?なんて不安を抱く事がなかったわけではないですが、そんなのまだだいぶと先かななんて、他人事のようにも思っていたようです。

年齢の違いは時に生活観の違いなどを生じさせ、交際自体を窮屈だななんて思ったり、小さな喧嘩をいくつもしたりもあったようですが、そんなのも含めて楽しく幸せな時間でした。

昔から楽しい時間は早く過ぎると言いますが、女にとってもその通りで、今まで交際したどの男性よりも長く一緒に過ごした人になっていました。
女に流れた時間は、同時に男の方でも流れていて、やがて自分の寿命があまり長くないのだと言う事を男は知る事になりました。
その事を知らされた女は、うろたえ、泣きじゃくり、食欲もなくなり、やがて時間と共に落ち着きはしましたが、大層ショックを受けたようです。

やがて男の方の容態も一旦は安定して、女と2人ようやく落ち着いて話が出来るようにはなったのであります。

ある日、男は女に対してこう切り出します。
男「まゆみ(女の名前)、若いなぁ」
男「日焼けばっかりして色は白くないけど、肌とかプルプルやな」
女は一体いつもと違う雰囲気の会話に戸惑いながらも、返します。
女「どうしたん急に・・・」
男「俺がおらんようになっても、まゆみやったら直ぐに良い男が見つかるな」
男「うん大丈夫やで・・・」
女「何、言うてんのよ、もうおばさんやのに、あんたにほっていかれたら、一生1人でくらさなあかんわ、辞めてや」
男「そんな事ないって、俺が保証するわ、絶対良い人見つかるって」
女「ッて言うかさぁ、じゃ、そんな保証まで出来るような好い女を他の男の為に置いて行くような事になったり、取られたりして、悔しいとか思わへんのん?!」
男「だって俺、居らんやん、もう直ぐ」
男「そうなってからまゆみが寂しい想いする位なら、そんな悔しいとかどうでもええなぁ」
女「・・・」
男「そう言う過去の事情が有ってさ、今、そんな風に生活しているまゆみにとって、新しく出会って信頼が築けるまで、めっちゃ時間かかるやろ、俺ともそうやったしな(笑)」
男「早めに、次の彼氏見つかったらええなぁ、ま、俺が逝ってから連れて来たってもええけどな(笑)」
女「何言うてんのぉ・・・」(←これ以上話せなかった)
男「あんまりあからさまにやられたら俺人間出来てないからかっこ悪く、流石に凹んでまうけど、営業活動(彼氏探しの事を2人の間ではこう呼んでいる)ちゃんとやりや、な」

こんなやり取りが何度かされている内にちょっとした売り言葉買い言葉だったのでしょうが、どちらからともなく別れを切り出してしまう事になります。

男「どうやねんその後、俺が逝ってから連れて来てやらんでもいけそうか?」
女「又その話?もうええって」
男「よくないよ、娘は嫁に出して、旦那もしっかりした奴やから、後は、お前の事だけが一番気掛かりやんけ」
女「私は娘さんとは違って出来が悪いからなぁ」
女「それに付き合っているままの状態で、次を探すなんて転職じゃ有るまいし出来る訳ないでしょ。」
男「じゃ、別れたらええんか、そうしよか」
女「もう、何言うてるのん」
男「次見つかるまで、寂しかったらいくらでもここに来たらええけど、ホンマにもうお前とは別れたから」
女「もうイイカゲンにしてやぁ・・・」
男「まゆみ解雇、再就職活動開始、やな(笑)」
男「俺、これで単なる元彼だから、ね」

最初は、そんな事出来る訳無いやん、と相手にもしなかった女だったのですが、あまりにも男にそんな風に言われるもんだから、興味本位、試しに、営業活動(再就職活動)をしてみたのだそうです。

続く かもしれない
何かください^^;

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